「姿勢を良くしたい」
「きれいな動作を身につけたい」
「スポーツで今よりスムーズに身体を動かしたい」
そう思って、日常生活の中で姿勢や身体の動かし方を意識している人も多いのではないでしょうか。
しかし、最初は意識してできていたのに、気がつくといつもの姿勢や動作に戻っている…。
そんな経験はありませんか?
意識すればできるようになっても、それが日常生活の中で自然にできるようになるまでには時間がかかります。
では、実際にどのくらい練習を続ければ、姿勢や動作は定着していくのでしょうか?
この記事では、運動学習という視点から「1回どのくらい練習すればいいのか」「どのくらいの期間続ければいいのか」という疑問について解説します。
【結論】まずは「1時間の練習を1週間継続」が一つの目安
姿勢や動作を身につけるために、どのくらい練習すればいいのでしょうか?
結論からいうと、「1回約1時間の練習を1週間程度継続する」ことを、一つの目安として考えることができます。
運動学習に関する基礎研究では、1時間程度の練習を1回だけ行うことで一時的な学習効果が得られる一方、繰り返し練習することでより長期的な学習につながることが示されています。
つまり、
- 1回だけ練習する→一時的にはできるようになる
- 繰り返し練習する→より長期間維持される学習につながる
という違いがあります。
そのため、姿勢や動作を改善したい場合には、
「まずは1回1時間程度の練習を、毎日または継続的に1週間程度行ってみる」
というのを運動学習の視点から考えた一つの目安としてみてはいかがでしょうか。
ただし、ここで注意したいのは、「1時間×1週間やれば、どんな姿勢や動作でも必ず身につく」という意味ではないということです。
研究で扱われている運動課題と、実際の人間の姿勢やスポーツ動作などでは、課題の内容や難易度が異なります。
したがって、「1時間×1週間」は姿勢や動作を改善するために絶対必要な期間ではなく、まず取り組んでみるための目安として考えるとよいかと思います。
💡ちなみに、1時間の練習をまとめて行う必要はありません
運動学習では、練習を長時間まとめて行うよりも、練習と休憩を挟みながら繰り返す「分散練習」の方が長期的な学習につながる場合があります。
例えば1時間の練習時間を確保する場合でも、
15分練習→休憩→15分練習→休憩→15分練習→休憩→15分練習
のように分けて行う方法もあります。

「1時間やらないといけない」と考えて無理をするよりも、集中して取り組める時間に分けて継続することも一つの方法だよ。
姿勢や動作の習得には個人差がある
「1週間練習すれば身につく」と聞くと、
「じゃあ1週間やったのにできない自分は、運動神経が悪いのかな?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、そんなことはありません。
姿勢や動作の習得には、以下の要因も関係します。
- これまでの運動経験
- 日常生活で繰り返してきた動作
- 身体の使い方のクセ
- 練習する動作の難易度
- 練習方法
- 練習頻度
例えば、「立っているときに少し姿勢を整える」という比較的単純な課題と、「スポーツで複数の動きを組み合わせる」という複雑な課題では、必要となる練習量は当然異なります。
そのため、1時間×1週間は「絶対に必要な期間」ではなく、運動学習を始める際の一つの目安として考えるのが適切です。
なぜ1回練習しただけでは定着しないの?
では、なぜ一度できるようになった姿勢や動作が、次の日には元に戻ってしまうのでしょうか?
その理由を理解するためには、「運動学習」の仕組みを知る必要があります。
例えば、姿勢を改善する場合を考えてみましょう。
最初は鏡を見ながら、
「頭が前に出ないようにする」
「反り腰にならないように整える」
など、一つひとつの身体の位置を意識する必要があります。
この段階では、できているように感じても、別のことに注意が向くと元の姿勢に戻ってしまうことがあります。
これは、まだ新しい姿勢や動作が十分に自動化されていないためです。
運動は「意識して行う」段階から「自然にできる」段階へ進んでいく
運動学習は、練習を重ねることで少しずつ変化していきます。
ここでは、姿勢改善を例にして、その過程を見てみましょう。
① 初期段階|「どうすればいいの?」を理解する
最初は、自分が何をすればいいのかを理解することから始まります。
例えば立ち姿勢を改善したい場合、
「頭の位置を変える」
「肩が前に出ないようにする」
など、自分の身体をどのように動かせばいいのかを考えながら姿勢を作ります。
この段階では、かなりの注意を必要とします。
鏡を見たり、専門家からアドバイスを受けたりしながら、「これが自分にとって良い姿勢なのか」を確認することが重要です。
② 中間段階|「自分に合った動かし方」を探す
次の段階では、実際に動きながら試行錯誤します。
例えば、
「顎を引くことをイメージすると良いな」
「肩甲骨を寄せるイメージだと良いな」
といったことに気づいていきます。
ここで重要なのが、「正しい姿勢ができる」ことと「実際にその姿勢を継続できる」ことは違うということです。
このような場合は、まだ自動化に向かい始めている段階だと考えられます。
③ 最終段階|「意識しなくてもできる」ようになる
さらに練習を重ねると、少しずつ動作の自動化が進んでいきます。
最初は、
「姿勢を良くしないと」
「頭をこの位置にしないと」
と考えていたものが、徐々にそれほど意識しなくてもできるようになります。つまり、以前より自然に姿勢を整えられるようになる状態です。
これが、私たちが「動作が身についた」と感じる状態の一つです。
姿勢改善では「ただ続ける」だけではなく「何を続けるか」が重要
ここまで読むと、
「じゃあ、とりあえず1時間の運動を1週間やればいいんだ」
と思うかもしれません。
しかし、実際には練習時間だけではなく、何をどのように練習するのかも重要です。
例えば、「立ち姿を改善したい」という目的でも、人によって身体の状態や動作の特徴は異なります。
そのため、
「とりあえず背筋を伸ばす」
「毎日筋トレをする」
「毎日ストレッチをする」
だけで、必ず目的の姿勢や動作が身につくとは限りません。
重要なのは、
①現在の姿勢・動作を確認する
②改善したいポイントを明確にする
③試行錯誤をしながら自分に合った運動方法を選ぶ
④繰り返し練習する
⑤日常生活の中でも実践する
という流れです。
特に、自分だけでは「どこを改善すればいいのか分からない」という場合には、専門家などの第三者に身体の動きを見てもらうことも一つの方法です。
一人での姿勢改善が難しいなら、専門家に見てもらう方法も
姿勢や動作の改善は、鏡や動画の撮影をすることで自分で取り組むこともできます。
しかし、
「現在の自分がどのような姿勢や動作をしているのかよく分からない」
「目的とする姿勢や動作を身につけるために、適切な練習ができているか分からない」
という場合には、専門家から指導を受ける方法もあります。
専門家に頼ることで、トレーニング方法を教えてもらうだけではなく、自分の身体の状態や動作を確認したうえで、目的に合わせた運動方法を提案してもらえる場合があります。
特に姿勢や動作の改善では、
「何をするか」だけではなく、「自分の身体に対して何をする必要があるのか」
を知ることが重要です。
自分一人で試行錯誤するよりも、専門家から客観的なアドバイスを受けることで、練習すべきポイントが明確になる可能性があります。
まとめ|まずは「1時間×1週間」を一つの目安に
姿勢や動作を身につけるために必要な期間は、人によって異なります。
ただし、運動学習に関する研究からは、1時間程度の練習を1週間程度継続することで、1回だけの練習よりも長期的な運動学習につながる可能性が示されています。
そのため、姿勢や動作を改善したい場合には、
まずは1回1時間程度の練習を、1週間ほど継続してみる
というのを一つの目安にしてみてもよいでしょう。
ただし、これは「1週間で必ず姿勢が完成する」という意味ではありません。
運動経験や生活習慣、課題の難易度などによって習得には個人差があります。
大切なのは、
意識してできる
↓
繰り返し練習する
↓
さまざまな場面で試す
↓
徐々に自然にできるようになる
という過程を積み重ねることです。
そして、「何を練習すればいいのか分からない」「自分の姿勢や動作のどこに問題があるのか知りたい」という場合には、専門家に相談することも選択肢の一つです。
姿勢や動作は、ただ長時間練習すればよいというわけではありません。
自分に合った方法を見つけて、適切な練習を継続すること。
それが、理想とする姿勢や動作に近づくための重要なポイントです。


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